2018年2月10日発行
金子書房・刊
四六判・240頁
本体1,800円+税
本書は、①教師がメディエーターになるためのスキルを身に付ける方法と、②教師が子どもに統合的葛藤解決スキル――もめごとを当事者となった子ども自身で解決できるようになるためのスキル――を教える方法を、はじめての読者でもわかりやすいように解説した入門書です。
ご存知の通り、学校では、さまざまなもめごとが発生します。そのようなとき、望ましいのは、子どもたちがおたがいにメディエーターになり、当事者が納得できるように、もめごとを解決できるようになることです(ピアメディエーション)。
しかし、子どもが自分たち自身でメディエーションを行えるようになるためには、彼らにそれを言葉で伝えるだけでなく、実際にやって見せられる教師が必要になるでしょう。そのためには、教師自身が、メディエーターとしてのスキルを身に付けておく必要があります。
また、もめごとが生じたときに、メディエーターになれる人が見つからないということも、あるでしょう。そのようなときにも備えようとするのならば、子ども一人ひとりのもめごと解決力、すなわち統合的葛藤解決スキルを成長させておく必要があります。
本書は、教師がメディエーターとしてのスキルを身につけるためのエクササイズを掲載し、読み進めながら学べるようになっています。また、子どもたちに統合的葛藤解決スキルを教えるための、学級でできるエクササイズも紹介しています。
日常的な子どもとのかかわりの中で生かせる知識とスキルがコンパクトに収められた、実践に役立つ一冊です。
【著者紹介】
益子洋人(ましこ・ひろひと) 北海道教育大学准教授
明治学院大学文学部卒業、明治学院大学大学院文学研究科修士課程修了。明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(人間学)。臨床心理士。栃木県スクールカウンセラー、明治大学文学部助教等を経て現職。ADRカウンセリング研究会主宰。NPO法人フレンズネット・北海道理事。JSNS認定交渉アナリスト補。訳書に『子どもの社会性づくり10のステップ』(共訳、2005年、金子書房)がある。
【目次】
Ⅰ もめごと解決の理論
1 「もめごと」とは
2 もめごと解決の形態
3 統合的解決のメリット
4 子どものもめごとを統合的に解決する具体的方法
5 統合的解決のための前提条件
Ⅱ もめごと解決のための具体的方法①――メディエーションを行う
1 メディエーションの過程とスキルの構成要素
2 メディエーション場面を構造化するスキル
3 公正・中立とみられる態度をとるスキル
4 当事者の話を聴くスキル
5 当事者の関心や希望を理解するスキル
6 解決策の検討を促すスキル
Ⅲ もめごと解決のための具体的方法②――統合的葛藤解決スキルを教える
1 統合的葛藤解決スキルの構成要素
2 統合的解決があると信じ、解決策を共創しようとするスキル
3 怒りや不安などの困った気持ちに振り回されないスキル
4 もめごとの相手を話し合いに誘うスキル
5 自分の潜在的希望を理解し、それを丁寧に伝えるスキル
6 相手の話を傾聴し、潜在的希望を確認するスキル
7 心理教育プログラムの実践例
Ⅳ 子どものもめごとを巡るQ & A
こんなとき、どうする?
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